人形たちのサナトリウム(1) - オーナレス・ドールズ -

著者/片倉青一 イラスト/裏方

わたしは常に人形の味方である。

それが毒あるもの、害あるものであろうと、わたしはその全てを肯定する。


わたしの使命は、観察、理解、共感。

わたしは使命に忠実であり、わたしに託された人形の幸福のためにわたしの全てを捧げる。


――いつか、ここから飛び立つ日のために。




心を持つヒト型の道具、『人形』と総称されるヒューマノイドが、人類と共に生活する世界。

看護人形のハーロウは、心身に不調をきたした人形たちが入所するサナトリウム、『止まり木の療養所』に勤めている。

サナトリウムに入所する患者の苦悩は様々であり、同じ疾患は一つとして存在しない。

引き金を引けない代理兵士。パラボラアンテナに恋をする郵便人形。皮肉と毒舌と揚げ足取りばかりの家政人形。

ハーロウはそれぞれの患者が抱えるさまざまな『不調』に寄り添い、その苦悩へ共感し、人形としての幸福を、患者と一緒に探していく。

悲しい別れもあれば、晴れやかな別れもある、人形のための病院。

繰り返される出会いと別れを通して、ハーロウ自身もまた成長していく。


いずれ来たる世界の一部を切り取った、ちょっと切ない本格ヒューマノイドSF。

2021年9月13日発売

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