『日雇い救世主(メシア) 募集中!』
そんな奇妙な求人広告が貼られた、とあるファミレスでの閑談の席にて。
36歳フリーター、仲道狂太郎は、突如として奇妙な空間に放り出されていることに気付く。
――電子ゲームをパロディ化したような世界。
――強力な各種”スキル”の習得。
――その目的は、人類の救済。
なるほど、WEB小説”あるある”そのものの体験だ。
だが、近隣の集落で情報を集めるにつれ、驚くべき事実が発覚する。
――どうもここの連中、食事を摂らないらしい。
どうやらこの世界の創造主、ゲーム的な演出を重視するあまり、人類の生態を少々、常軌を逸した感じにしてしまったらしい。
いま狂太郎の胃の中にあるのは、お昼に食べたミラノ風ドリアのみ。
もはやこの世界、一秒たりとも長居してはいられない。
遅くとも夕飯までには戻らねば。
焦る仲道狂太郎は、怒濤の勢いで世界の救済を目指すのだった。